2010年4月7日水曜日

キュレーターの条件

佐々木俊尚氏(@sasakitoshinao)が4月4日にTweetされていたキュレーションに関する英文記事からキュレーションの肝、すなわちキュレーターにとって大切なことが見えてきます。私が捉えた「キュレーションの肝」は次の通りです。
自分にとって魅力的なコンテンツを提供してくれる可能性のある人を押さえつつ、常に自分の好奇心の範囲を広げること。
すなわち良いキュレーターになるためには、「良い情報の出し手(≒ブロガーやTwitterアカウント)を知っていること」そして「好奇心を持ち続けること」が必須条件と言えそうです。

以下に和訳全文を掲載しておきます。相変わらずの超訳で恐縮ですが、誤訳を発見されましたら、是非ご指摘下さい。皆様のキュレーション理解の一助となれば幸いです。

----------
[元記事] ‘Controlled Serendipity’ Liberates the Web

# コントロールされたセレンディピティはWebを開放する

<セレンディピティ:別のものを探しているときに、偶然に素晴らしい幸運に巡り合ったり、素晴らしいものを発見したりすることのできる、その人の持つ才能。>

私はブログ記事を書き終わった後、<ブログ記事の更新を通知するために>Tweetする。

ブログ記事のURLをコピーし、数分で書き上げたブログ記事の要約文と共にTweetする。続いてFacebookで同様の作業をする。

次いでWebで記事を探し回り、友達やフォロワーと面白い記事をシェアする…これが私の日常だ。私は毎日多くの時間を、テクノロジーや一般ニュース、ジャーナリズム、デザイン、最新のアニメ動画といった私の興味に沿った記事の探索に費やしている。

我々の多くは同じような事をやっている。我々はもはやコンテンツの消費者ではなく、コンテンツのキュレーターとなった。

もし誰かが5年前に、私が近い将来コンテンツを無料でフィルタリングし、収集し、そして共有するようになる、と言って来たら私は当惑しただろう。しかし今ではフィルタリングもせず、収集もせず、そして共有もしない生活など想像できない。

より重要なのは、私はもはや他の人からの助け<推奨記事へのリンクの提示>無しに記事や情報を得ることなど考えられない、という事だ。

例えばシリコンバレーのベンチャー企業でエンジニア・マネージャーを勤めている Atul Arora は毎日2~3時間をテクノロジー関連のブログ記事や一般記事の探索に費やしている。毎日 Arora は15個程度のテクノロジーに関連する最新記事をTweetしている。以前私は彼に対して何故そのようなことをやっているのか聞いた事がある。そのときの彼の答えがこれだ。「以前は同じ時間を新聞や雑誌、本を読むことに費やしていた。今はその代わりにオンラインニュースを読み、そして共有している<これまでは読むことだけに費やしていた時間を、読むことと共有することに費やしている>。」

もう一人の事例は Maria Popova だ。彼女はキュレーションを「コントロールされたセレンディピティ」と呼ぶ。彼女は数千の人に対して、彼女の好奇心を満たす情報のフィルタリング結果を提供している。

Popova は毎日細心の注意を払って、自分でキュレートしたWebサイトあるいはTwitterでフォローしている人達のTweetから最高に面白い情報を探し出す。「私は全てをくまなく探す。だからセレンディピティなのだ。バックボーンをキュレートする、これが本質的な'メタ・キュレーション'だと考える<自分が情報を取得するためのWebサイトやTwitterアカウントを編成しておくことがキュレーションのキュレーション、すなわちメタ・キュレーション>。そしてその一方で自由に自分の興味の触手を伸ばす。これが最高のやり方だと自負している。<すなわち、メタ・キュレーションを構築しつつ、常にあらゆる事に好奇心を向けるのが肝>

人々が興味のある動画や記事を見つけた際、誰かと共有することは条件反射的な行動となっている。素晴らしいコンテンツが口コミで広がっていくことは、さほど新しいことではない。しかし考え方を共有することはもはや限定的な事ではなくなった。規模の大小の差はあれど、我々はオンライン上で摂取する全ての情報を共有する。

Betaworks、そしてURL短縮サービス Bit.ly のCEOである John Borthwick は次のように言う「毎月多くの人々がソーシャルメディア、あるいはメールからURL短縮サービスを利用している。先週は一週間で599,100,000回利用された。これは2008年にサービスを開始して以来の最高記録だ。」

多くのコンテンツが生み出される中、Webサーフィンはより大変になってきた。そして我々は新しいコンテンツやサービスを見つけたときに自問自答する。「私はこのリンクをクリックして地震に関する最新のニュースを読むべきか?」「毎日どのくらいのブログをチェックすべきか?」「何か見逃したものはないか?」「全てのコメントも読むか?」「いつ、どのソーシャルメディアを更新すれば良いのか?」

しかし我々はこうした問題に対し、アグリゲーションを通して答えを見出しつつある。我々は「コントロールされたセレンディピティ」を共有することで、重要なものを見過ごす可能性を小さくしてきた。そしてこうした社会的な仕組み無しに、日々世界中で生み出される膨大なコンテンツに相対することなど、想像することはできない。

我々は今や皆が人間アグリゲーターと言える。
----------