2010年4月19日月曜日

キュレーションの業務フローと業務プロセス

オンラインコンテンツのキュレーションについてさらに理解を深められそうな記事がありましたのでご紹介します。これまでの記事によってキュレーションの概要については概ね把握できるかと思います。
しかしこれまでの記事ではキュレーションの具体的な業務フローと業務プロセス(どのような作業をどのような順番で実施すれば良いか)についてはあまり触れられていませんでした。今回の記事はここを埋めるものとなります。本記事の作者 Robert Scoble 氏は名著「ブログスフィア」(お勧めの本です)の共著者で、ソーシャルメディア、特にブログに対する知見は非常に深いものがあります。その Scoble 氏の記事とあってとても読み応えがありました。
Scoble 氏は、リアルタイムに更新される原子レベルの情報、すなわちツイッターのツイートや Google Buzz のメッセージもキュレーションの対象になるとした上で、キュレーションの業務フローと業務プロセスを次のように定義しています。
  1. 原子レベルの情報を束ねる
    あらゆるソーシャルメディアから関連する原子レベルの情報を収集・選別し、束ねる。
  2. 束ねた原子レベルの情報を並べ替えて分子レベルの情報を作成する
    束ねた原子レベルの情報を、例えば重要度が伝わるような形で並び替え、分子レベルの情報を作成する。
  3. 分子レベルの情報を配信する
    分子レベルの情報を、ツイッターや Facebook、メールなど、適切な方法で配信する。
  4. 分子レベルの情報に対して意見を述べる
    分子レベルの情報に対して、自分の(客観的な)意見を付与する。
  5. 分子レベルの情報を更新する
    状況の変化に合わせて、分子レベルの情報を更新する。
  6. 読者が参加するためのウィジェットを追加する
    読者からのコメントをもらったり、読者にアンケートをとるための機能(ウィジェット)を追加する。
  7. 読者を追跡する
    アクセスツールなどで、読者の足取り(どこから来たのか、どのくらい見られたか、何に人気があったかなど)を調査する。
ここで Schoble 氏は、各業務プロセスにおいてクロスプラットフォームで利用可能なツール(全てのプラットフォームを横断的に利用可能な単一のツール)が未だに整備されていない現状を指摘しています。どうやらツールベンダが次のようなことを懸念しているために、ツールの構築が進んでいないようです。
  1. 各プラットフォームのAPIが異なるため、クロスプラットフォームで利用可能なツールの作成は技術的に困難である。
  2. プラットフォームベンダの動向を気にしている(例えばせっかくツールベンダが機能を作成したとしても、プラットフォームベンダがさらに高性能の機能を作成する可能性がある)。
  3. ツールを作成したとしても利用者が少ないと考えている(ただ、Scoble 氏はこれは杞憂であるとしています)。
ツールが整備されていないと業務効率が著しく低下するため、これは今後の課題となりそうです。キュレーションは今後間違いなく普及することを考えると、日本のツールベンダにも是非頑張って欲しいところですね。さて、Schoble 氏は最後に、キュレーションを取り巻く状況は今後改善されていくことを次のように予測されています。
  1. (様々なソーシャルメディアにリアルタイムに掲載される原子レベルの情報を対象とした)検索機能は近い将来改善されるだろう
  2. リアルタイムにトレンドを把握するための機能は近い将来改善されるだろう
  3. ブランド価値のある分子レベルの情報と広告は結びつくだろう
  4. プラットフォームベンダは近い将来マネタイズの手法を確立するだろう
  5. 位置情報サービスは分子レベルの情報に付加価値を与えるだろう
  6. 関連性や信頼性の付与はシステム化されるだろう
キュレーションが普及し、マネタイズの手法が確立されるのはもう間近なのかもしれません。

なお、本記事は英文記事の内容を基にして作成しています。もし私の認識が誤っている箇所など発見されましたら指摘いただけると助かります。